内申点の使われ方

内申点の使われ方 2022/05/25

<目次>

1.内申点とは

2.内申点の計算方法

3.内申点の使われ方(都立入試の場合)

4.内申点の使われ方(私立入試の場合①単願推薦)

5.内申点の使われ方(私立入試の場合②併願優遇)

 

1.内申点とは

 

学校の5段階評価の成績のことです。

中学3年生の2学期の評定が内申点として使用されます。

1学期の定期試験の成績も含めて2学期の評定を決める学校も多いため、2学期だけ努力しても内申点はあまり上がりません。1学期から勝負は始まっています

 

2.内申点の計算方法

 

以下の例で実際に計算してみましょう。

私立高校の場合は評定そのままを計算します。(素点あるいは素内申といいます)

【3科(国語・数学・英語)】

3+5+4=12

【5科(国語・数学・英語・社会・理科)】

3+5+4+4+5=21

【9科】

3+5+4+4+5+4+3+5+3=36

 

都立高校の場合は、実技教科を2倍して計算します。(換算内申といいます)

【5科】

3+5+4+4+5=21

【4科(実技教科)】

4+3+5+3=16

【換算内申】

21+16×2=53

 

3.内申点の使われ方(都立入試の場合)

 

都立入試では調査書点(内申点)300点、学力検査点(入試得点)700点の合計1000点満点で合否が決まります。

換算内申53、入試得点380点のA君の調査書点、学力検査点、および総合得点は、

【調査書点】

53÷65×300=245点

【学力検査点】

380÷500×700=532点  

【総合得点】

245+532=777点 と計算されます。

 

ここがポイント① 内申点の差で合否が分かれる

換算内申53のA君がもし換算内申54だった場合

調査書点:54÷65×300=249点となり、総合得点は4点増え、781点になります。

この4点がとても重要です。

A君の志望した〇〇高校の合格ラインが780点だった場合、

換算内申が53だと不合格、54だと合格です。

毎年「内申点があと1あれば合格できたのに…」と多くの受験生が嘆いています。

1つでもいいので内申点を上げるために最善を尽くしましょう。

 

ここがポイント② 3年の2学期で調査書点は確定する

前述の通り、内申点は3年2学期の評定をもとに決められます。

さらに多くの学校では3年2学期の評定を、1学期の定期試験と2学期の定期試験を総合してつけられます。

つまり、1学期から受験は始まっていると言っても過言ではありません

 

4.内申点の使われ方(私立入試の場合①単願推薦)

 

「単願推薦」では、合格したら必ずその高校へ進学する必要があります。

「単願推薦」での内申点の使われ方は次の2種類ありますが、いずれも素内申を使用します。

 

【①ほぼ確約タイプ】

高校が定める基準をクリアしていれば合格をほぼ確約するタイプです。

中堅校までに多く、面接と作文のみで学力検査は行われないことが多いです。

 

【②出願基準タイプ】

高校が定める基準をクリアすることで受験することができるタイプです。

倍率も非常に高いため、不合格になることがあります。

大学附属校に多く、学力検査も行います。

 

ここがポイント①

【出願基準タイプ】では内申の基準を大幅に下げている(基準なしの場合も!)学校もありますが、注意が必要です。

「内申がそれほど高くなくても合格の可能性がある」と思い込んで出願してみたら、基準はないものの入試得点に内申点が含まれていて、実際には内申点が高くないと合格できない、というケースもあります。

事前に説明会などに参加して、正しい情報をつかんでおきましょう。

 

ここがポイント②

【出願基準タイプ】では推薦入試で不合格だった場合でも一般入試を受けることができます。

一部の学校では推薦不合格者に対し、一般入試で加点優遇を与えることがあります。

このタイプの高校を一般入試で受験する際は注意が必要です。

 

実際にあった例を挙げます。

ある高校での推薦入試の定員は75人、一般入試の定員も75人でした。

推薦入試での受験者は192人、一般入試の受験者は246人でした。

定員75名以上の人数が加点優遇をもらっています。

どれだけ加点されているかにもよりますが、これではフリー受験者の合格の可能性は少ないでしょう。

 

「推薦不合格者に加点優遇を与える」タイプの学校が第一志望の場合は、一般入試だけでなく推薦入試も受ける必要があります。

そのため、私立第一志望だとしても推薦入試を受けられるように内申点をとっておきましょう。

 

 

5.内申点の使われ方(私立入試の場合②併願優遇)

 

高校入試でも大学入試でも本命の学校以外に「すべり止め」の学校を用意する人がほとんどです。

東京都の場合、「ある基準を満たしていれば合格をほぼ確約してもらえる(すべり止めとしてほぼ必ず活用できる)」という優遇措置があります。

これを併願優遇といいます。(一部の学校は確約ではなく、加点優遇)

併願優遇は一般入試での優遇ですので、実際に学校に行って試験を受ける必要があります。

併願優遇の基準として、内申点が使われます。(単願推薦と同じく、こちらも素内申)

 

学校によって必要な基準は変わりますが、高い内申点が要求されます。

オール4だと偏差値50後半くらいの学校で併願優遇をもらえますが、オール3だと偏差値40くらいの学校からしか併願優遇をもらえません。

自分の希望する学校から併願優遇をもらうためにも、高い内申点をとりましょう。

 

ここがポイント① 「内申がないから私立」は非常に危険

東京都の私立高校の場合、受験者のほとんどが何らかの優遇をもらっています。(一部の上位校を除く)

内申がない場合、フリー受験をするしかありませんが、

定員が200名の学校に対して、フリー受験での合格者は7、8名ということも少なくありません。

「狭き門」なので合格する可能性は非常に低いです。

フリー受験で合格するより、内申点をとる方がはるかに簡単です。

 

ここがポイント② 併願優遇は都立の受験校にも影響を及ぼす

たまに「都立第一志望なので併願優遇はどこでもいい」と考える人がいますが、実は併願優遇校こそしっかり考える必要があります。

最悪ここなら行ってもいいかな、と思える学校を選びましょう。

そのためにも今の段階から説明会などに参加して情報収集することが大切です。

 

ここがポイント③ 併願優遇には2つタイプがある

Aタイプ:第一志望が都立、当該の私立が第二志望でなければならない。

→都立との併願でなければ優遇しない

Bタイプ:第一志望はどこでも可。当該の私立は第二志望でなくても構わない。

→他の私立との併願であっても優遇する

という2種類のタイプがあります。私立第一志望の人や、私立チャレンジ受験をする人はBタイプの学校で併願優遇をとらなければなりません。