考える国語(小学生)

 

小学生の国語には、これから日本語を学び、文章を読解するためのあらゆる要素がつまっています。すなわち、文章を読み、分からない漢字や語句を知り、文と文のつながりや流れを意識し、ひとつの世界観をイメージしたり、意見や主張などを理解したりする。そのために必要な練習が小学生の国語にはあるのです。

小学生の教材は、中学生と違い文章が「読めない」ということを前提につくられたものが多いため、問題を解き進むにつれ文章の理解が進むように設問されています。ですから、本来は、国語の問題にじっくり取り組むことで、文章を理解する力がつくはずなのですが、「あたった」「はずれた」レベルで自分の解答をとらえていると、いつまでも理解を深められないことがあります。なぜその解答にいたるのかのプロセスを重視して問題をとらえることが読解力の向上には不可欠です。

また、小学生は「読解問題」を「解く」ことに意識が向きすぎるあまり、書き抜きや、記号式問題の選択はできても、そこにかかれてある内容の理解まで到達できないことがよくあります。確かに設問に答える際には自分勝手な解釈ではなく、客観的に考えて解答を導く必要がありますが、一方で、設問に答えることに追われて、文章をもとに考え、自分なりに解釈してみるところまで深められないとしたら、それは非常にもったいないことだと思います。

これから将来にわたって「言語」を使って考え、現実を認識し、他者と意思疎通をはかりながら生活していく、その土台を形成するのが国語という科目です。「考える」というプロセスは、言語活動ぬきには成り立たないのですから、その意味からも言葉をしっかり学ぶことが重要であることが分かります。

 

特に小学生での国語の学習は、言語的な成熟の度合いと無縁ではないため、それぞれの発達の段階に合わせて「読解力」を身につける必要があります。筆者の主張を論理的に読み取る訓練の一方で、時には自分勝手な解釈も許される読み方もあるというバランス感覚が必要なのです。

学習内容にも「声に出して読む(音読)」「実際に文章を書いてみる(作文)」をふんだんに取り入れることで、さまざまな刺激を与え続けることが国語学習には有効です。