数に強くなること。これが算数の目標の一つですが、その方法は一筋縄ではいきません。計算が速くできるようになることは大切です。計算力はドリルで反復練習を行うことで、飛躍的に伸ばすことができます。たしかに数字に強くなることの必要条件ではあります。しかし、文章題を解くためには自分で式を考えなければなりません。
中学の数学とは何が違うのでしょう。中学では「方程式」を使うため、与えられた条件を順に式にあてはめていけば解が導かれるようにできています。一方算数では与えられた条件を具体的にイメージしながら式を自分で考えなければなりません。
図形はどうでしょう。平行四辺形や台形の面積を出す公式は覚えれば使うことはできます。しかし算数には、その公式がどのような論理によって成立しているかが分からないと解けない問題も多くあります。公式の背後にある考え方や理屈が分かると、さらに難易度の高い応用問題を解くことも可能になります。
中学入学後に伸びる子どもたちは、小学生のときから少しずつ「考えて問題を解く」練習を積んでいるといえます。文章題や図形などの応用問題に取り組むことは、「考えて問題を解く」ことを学ぶ絶好の機会なのです。
自分自身の頭で考え、式を立てる。場合によっては表や図を利用して考える。その過程で、たとえ正解にたどり着けなくても試行錯誤を繰り返すことが、豊かな思考力や発想力を育てます。小学生の段階では、ただ問題を処理するためだけの小手先のテクニックを身につけるべきではありません。先の学習で出会うであろう大きな問題に対応できる、「考えて問題を解く」姿勢を身につけることが肝要です。
算数独特の数字に対する直観力や、図形を見る目を鍛えると同時に、じっくり「考えて問題を解く」ことに取り組みます。中学・高校の学習内容を念頭において、数歩先を意識した指導を行います。